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開催報告

ゲストスピーカーシリーズ Vol.4を開催しました!

「地域共創論」(1.2年生対象 湯田ミノリ先生担当)のゲストスピーカーシリーズ、今年度最後の第4回目が開催されました。

 今回はゲストスピーカーに仲間浩一さん(トレイルバックス代表?風景通訳家)をお迎えし、地域にとっての魅力、そしてその魅力の発掘について、また魅力を発掘しての地域振興とはいかなるものかということについて、具体的な事例を織り交ぜながらお話しくださいました。


 仲間さんは、風景通訳家(Landscape Interpreter)として、九州?四国などを中心に各々の地域や農山漁村の魅力や価値をいかに伝えるかということを、まちづくり活動の支援や観光?地域ガイドの講師育成、地域を体験するイベントの企画運営などを通して尽力なさっています。その他にも、世界文化遺産に登録するための活動をも行っていらっしゃり、魅力のある地域をそこに住む住民の方々と共有して、より一層魅力を掘り起こしていくということもされているそうです。

 今回、仲間さんは長崎県平戸市の春日集落、熊本県小国町の杖立温泉、そして福岡県新宮町の立花口?相島?的野の事例を取り上げてお話しくださいました。
 長崎県平戸市の現在人口約80人ほどの春日集落は、隠れキリシタンの住む場所だったそうです。春日集落にある見事な棚田は、平地で何の食料も得られない中から生き延びるために人工で石を積み上げて棚田を作り、米を育て、子孫を繁栄してきた象徴でもあります。助け合って田の維持や農業を行い、海に潜る漁をし、日々の生活を過ごしてこれた裏では「隠れてキリスト教を信仰する」という共通の認識があり、その認識が固い絆が生活を支えたのだとおっしゃっていました。
 現在まで続くその文化的景観を世界遺産にしようという話が出た際に、地域の方と世界遺産になると得があるのか、地域振興に繋がるのかという議論を徹底的に行った話をして下さいました。世界遺産として地域が一気に注目を浴びると、地域の暮らしや文化を知らない人が大勢訪れることでいとも簡単にその地域の文化や生活は踏みにじられてしまうとおっしゃいました。話し合う場となると男性ばかりの意見に偏るため、あえて仲間さんは女性ばかりで話す会を設けたそうです。その話し合いの機会は、実際に住んでいると地域の魅力を他の人に話す機会というものは殆どないため、住民が話すことで各々が地域の魅力を見つめ直し再発見するきっかけにもなった上に、このように地域の魅力を再発見し、暮らしや地域のルールを改めて再確認して住民間で確固たるものとして次の世代へと引き継いでいくことは、地域が注目を浴びる準備にも、また地域の魅力を掘り起こすきっかけにもなるため地域振興にもなるというお話が非常に印象的でした。

 また、その他にも生まれも育ちも死ぬまでその地域に住み続けたいと願う高齢者の願いと、温泉街でありながら街歩きをする観光客が非常に少ないという悩みを抱える杖立温泉のお話を伺いました。
 仲間さんたちが注目したのは、長年住み続けているせいか店の前の狭い道路に私物を置いてしまっている状況でした。そのため歩道が塞がれ観光客もあまり歩きたがらないような環境だったため、何度も説明会を開き約1.2年の間に人が歩くと歩道に見えるようなデザインの道路に作り変えたそうです。これには、赤の他人が杖立温泉を変革するとして様々なプロジェクトを持ち込んでは実現せずに帰ることが繰り返されていたことを経験し、仲間さんたちのことを観察して疑っていた住民たちにも高い評価を得たそうです。さらに、お年寄りも死ぬまで家で暮らせるよう、万が一の際の救急車のストレッチャーが入るような階段とスロープを工夫して作り変えたり、階段の足で踏む面の広さを調節するなど次々に地域に密着した変革を行ったそうです。地域を良くするには、やみくもな変革を急に行うのではなく、まずその地域に住む住民の信頼を得ることの大切さを仲間さんのお話から学ぶことができました。

 以上のように、実際の地域の事例を取り上げながら地域の魅力の発掘と地域振興についてお話を伺いましたが、最後に学生の時に、学生だからできることやチャレンジしたいことを見つけ、地域の住民だからわかることなどをマッチングさせて地域振興に携わることの面白さをお話しくださいました。地域にとってのハッピーは、一遍通りの改革をしても上手くはいかず、経験を積むことで多角的な目を養うことにより、初めて分かるようになるそうです。一人一人の考え方にいかに目を向けられるか、一人一人の考えていることの面白さに気付き、自分自身の考え方の目をより多く持つことの大切さを教えてくださいました。
開催日 2017年12月12日(火) 
開催時間 10:30-12:00
開催場所 C301
対象者 地域共創論履修者、体験学習、インターンシップに興味のある方ならどなたでも
「地域共創論」(1.2年生対象 湯田ミノリ先生担当)のゲストスピーカーシリーズ、今年度第4回目は
仲間浩一さん(トレイルバックス代表、風景通訳家)をお迎えします。

 九州は豊かな自然に囲まれており、バリエーションの豊かな農牧業や周辺地域との交流を育みながら今の暮らしが成立しています。そしてその場所ならではの景観や資産と結びついた魅力、つまり「地域らしさ」を生かしたまちづくり活動や活性化の方策が求められています。
 今回の講義では、地域の暮らしに向き合い、住民とともに解決に取り組む面白さをお話しいただきながら、地域の魅力や地域振興、学生の皆さんがインターンとして地域の暮らしに寄り添うことの意味、さらにはその体験を将来にわたって生かす可能性について、仲間さんの九州での様々なご経験とともに考えていきます。

ゲストスピーカーシリーズの回は履修していない方も聴講できますので、地域の問題、地域活性化などに
興味のある方は是非お越しください。

地域共創論 ゲストスピーカーシリーズ Vol.4
日時:12月12日(火)10:30 - 12:00
場所:福岡女子大学 C302
ゲストスピーカー:仲間浩一さん(トレイルバックス代表?風景通訳家)
対象:地域共創論履修者、地域の課題解決、体験学習、インターンシップに関心のある方はどなたでも

お問い合わせ:福岡女子大学 AP推進室
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